第1話 小休止

宝石の国・オリブレイト…-。

空から降り注ぐ明るい光が街を照らす、そんな穏やかな日に…-。

ロナルド「あーもうマジ勘弁。ただでさえクソ忙しいのに」

ベンチに座り込んだロナルドさんは、芝刈り機のようなものを携え空を見上げる。

〇〇「ちょっと休憩しましょうか」

私はこの世界に迷い込んでしまったロナルド・ノックスさんと一緒に、彼が元の世界に戻る方法を探していた。

(仕事も忙しそうだし、早く手がかりを見つけてあげたいけど……)

(どうすればいいんだろう?)

ロナルド「キミも座りなよ、ホラ」

彼は当たり前のように自分の隣へと私を促す。

〇〇「あ、はい」

腰かけようとした時、ロナルドさんがベンチの上の落ち葉をさっと手で払ってくれた。

(あ……)

さりげない心遣いを嬉しく思いながら、彼の隣に座る。

ロナルド「サトクリフ先輩も人使い荒いような~。『帰る方法、探しときなさいヨ』って」

(サトクリフさんって確か……仕事の先輩だっけ)

そんなことを思い出していると、私達の前を恋人達が寄り添いながら歩いて行く。

楽しそうに笑い合う恋人達を見つめ、ロナルドさんは不満げにため息を吐いた。

ロナルド「あーもう! 今日の調査はオシマイ! キミ、今からお茶でもどう? 手伝ってくれてるお礼に、おごるからさ」

眼鏡の奥の瞳は、なんだか生き生きして見える。

涼しい風が、飄々としたロナルドさんの柔らかな髪を揺らしていた…-。

  • 最終更新:2017-05-26 17:24:33

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