第1話 街が色づく頃
時の国・フォーラント 宙の月…―。
鮮やかな紅葉が、優しい日差しに縁取られる、ある昼下がり…―。
アインツさんに招待されて、私はフォーラントを訪れていた。
(賑やかな街……)
活気にあふれた街並を眺めながら歩いていると、街のいたるところに貼られたポスターが目に入ってくる。
(何だろう)
立ち止まり、ポスターを眺める。
○○「競技会?」
その時…―。
??「待ってたぞ○○!」
後ろから明るい声が響いた。
振り向くと、アインツさんの輝く笑顔がそこにあった。
○○「アインツさん?」
アインツ
「よく来たな!」
「ん? 何を見て……」
私が見ていたポスターをジッと見つめると、アインツさんは陽がさしたように明るく笑った。
アインツ「ああ! 競技会か!」
○○「はい。楽しそうだなと思って」
アインツ
「楽しいと思うぞ! 国の一大イベントだからな!」
「剣だったり、馬だったり、まあ何でもありのお祭りだ!」
○○
「お祭り……」
「アインツさんも出場するんですか?」
アインツ「オレ?」
私を見つめたまま、アインツさんが何度も瞬きしている。
(変な質問をしてしまったのかな……)
アインツ「仕方ない……」
○○「え……?」
アインツ
「出る予定はなかったが、オマエがそこまで言うなら出ないわけにはいかないだろ!」
(聞いただけだったんだけど……)
アインツ「よし! 決まったからには行くぞ!」
○○「あっ! アインツさん……!?」
アインツ「城がオレ達を待っている!」
戸惑う私の肩を抱いて、アインツさんが城を指差す。
(アインツさんって……)
夕暮れに近づいた太陽が、目指す道の先を赤く染め始めていた。
- 最終更新:2017-11-12 20:34:46