第4話 生まれる感情
原っぱでの二人きりの時間を過ごした後…―。
ハルの城に着くと私は、大勢の使用人さん達に迎え入れてもらった。
そして…―。
案内された部屋には、華やかなビジューがついたドレスが用意されていた。
○○「素敵なドレス……」
メイド「それは、ハルディーン様からのプレゼントです」
○○「ハ、ハルから!?」
突然のプレゼントに、嬉しさと同時に戸惑いが込み上げる。
そんな私を見て、メイドさんがにっこりと微笑んだ。
メイド「ハルディーン様が、○○様に、着替えてらっしゃるようにとのことです」
メイド「絶対に似合うだろうと、楽しみにされていました」
(ハル……)
私はメイドさんに背中を押され、ドレスに着替えることにした。
…
……
ドレスを着て部屋の扉を開けると、ハルが待ち構えていたように立っていた。
私の姿を見て、ハルは満足そうに微笑んだ。
ハルディーン「やっぱりそのドレス、すごく似合ってるぞ! 気に入ってくれたか?」
○○「うん、とっても豪華だし、それに素敵なデザインで……ありがとう」
ハルディーン「いや、これは礼だ。オマエは、本当にかわいいし綺麗だし、最高だな」
○○「ハ、ハル……」
ハルの指先が、さっき草原でそうしたように、やんわりと頬を撫でる。
~太陽~
○○「ありがとうハル。すごく嬉しい」
ハルディーン「だいぶ素直になったな。偉いぞ」
~月~
○○「ド、ドレスがとっても素敵だからそう見えるんだよ」
ハルディーン「まったく。シュガーは素直じゃないな」
ハルディーン「よし、オレが素直にさせてやろう」
~共通~
次の瞬間…―。
○○「……!?」
ふわりとかぐわしい紅茶の香りと共に、彼の顔が近づいたかと思うと……
頬に、柔らかな唇が触れた。
○○「……っ!」
ハルディーン「本当は唇にしたかったけどな」
ハルディーン「さ、来い。シュガー」
ハルが私に向かって手を差し出す。
少しためらったけど、そっとその手を取った。
そして庭先まで来た時…―。
女友達1「あ、ハルディーン様! 捜しましたわ!」
女友達2「ハルディーン様!」
数名の、綺麗な女性達が駆け寄ってきた。
ハルディーン「あ、皆。ちょうどいいところに。こいつはシュガー、オレの命の恩人だ」
ハルディーン「シュガー、こいつらはオレの友達」
○○「は、はじめまして。○○です」
女友達3「ふうん……この子がね」
女の子達の目線は、明らかに冷ややかなものだった。
(気分を、悪くさせちゃったかな……?)
女の子達は、ハルと私とを交互に見比べるように視線を動かしている。
○○「す、すみません。私……失礼します」
その視線に耐え切れず、お辞儀をしてその場を立ち去ろうとすると、ハルが追いかけてきた。
ハルディーン「何だよ、シュガー。急に、どうしたんだ?」
~太陽~
○○「私は、大丈夫」
ハルディーン「何でだ? 皆一緒が嫌なのか?」
○○「そうじゃないけど……私がいない方が、皆も楽しめると思うし」
(私……何言ってるんだろう)
~月~
○○「私はいいから。女の子達……ハルを待ってるよ」
ハルディーン「ああ。だからシュガーも早く一緒に戻ろう」
○○「私は…―」
続く言葉が見つからず、口ごもってしまう。
~共通~
ハルディーン「もしかして……オレが他の女といるのが嫌なのか?」
○○「ち、違うよ!」
ハルディーン「そんなに恥ずかしがることない。こっちへ来い」
○○「恥ずかしくなんて……ない」
ハルディーン「あ、シュガー……!」
消え入りそうな声で反論して、私はその場を逃げるように立ち去った。
(私、どうしたんだろう。せっかくハルが誘ってくれてるのに)
(でも……)
さっきハルと二人で話していた時の楽しさが思い返される。
自分でも理由のわからない微かな痛みに、私はぎゅっと胸元を押さえた…―。
つづく……
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- 最終更新:2017-02-22 23:32:34