第5話 いじわる
〇〇「……っ」
彼の瞳が、私を見つめている。
頬に触れた彼の指が、風に巻き上げられた私の髪を耳にかけてくれた。
(どうしよう、心臓が……)
目を閉じて、鼓動を落ち着かせようとしていると…-。
アピス「何してるの?」
アピスさんの明るい声がする。
目を開けると、彼は何事もなかったかのように、私を見つめている。
アピス「あっちに美味しいアイス屋さんがあるみたいだけど。 行かないの?」
彼の目はやっぱりイタズラっぽく輝いていて、私は少しだけ、くやしい気持ちになる。
足元を見つめると、真っ白な砂に、二人の足跡が並んでいた…-。
- 最終更新:2017-03-23 13:28:57