第2話 夢夜の待ち合わせ
約束したパビリオンの前で、私は少し緊張しながらメディさんを待っていた。
(この服で変じゃないかな……?)
舞踏会のために着替えたドレスが少し気恥ずかしい。
メディ
「ハニー」
○○
「メディさん」
メディさんの姿を見つけ、私は手を振る。
けれど…-。
メディ
「待たせたかな?ボクの麗しの姫君」
はしゃぐ私と違い、メディさんは私の方へ歩み寄ると、恭しくお辞儀をした」。
メディ
「今日は、ボクと共に芸術的に踊ろう」
言葉はいつものメディさんなのに、その眼差しはまっすぐで……
○○
「はい……よろしくお願いします」
なぜか緊張してしまい、声が上ずってしまう。
(なんだか、メディさんなのにメディさんじゃないみたい……)
落ち着かない胸に手を添え、私は平静を装おうと彼に笑いかける。
すると、メディさんが私の方へと距離を詰めた。
○○
「っ……!」
手にしていた白い花を私の髪にそっと飾り、メディさんは満足そうに微笑む。
メディ
「うん……美しいハニーが、もっと美しく輝いて見えるよ」
メディ
「そのドレスもよく似合っているね」
○○
「ありがとうございます……」
褒められた嬉しさと気恥ずかしさで、顔が熱くなっていく。
そっと髪を撫でる優しい仕草に、また胸の高鳴りを感じた。
メディ
「う~ん……」
メディさんは私を見つめたまま、何かを考え込むように腕を組んだ。
○○
「……どうしたんですか?」
メディ
「本当なら、ここでハニーの美しい姿を絵に描きたいくらいだけど……」
メディ
「この姿は、ボクだけの目に焼き付けておこうかな」
メディ
「今日だけは、キミの美しさを独り占めしたいからね!」
明るさを取り戻したかのように、メディさんがくるくると表情を変える。
○○
「そんなに褒めてもらえるなんて……」
(なんだろう、ドキドキして……)
○○
「メディさん、ありがとうございます」
メディ
「お礼を言うのはボクの方だよ」
○○
「え?」
メディさんは私の顔を覗き込むと、ぱちりとウインクした。
メディ
「キミの姿を見つけた時、ボクがどれほど舞い上がりそうだったか!」
メディ
「もしかしたら、ボクは気づかないうちに空を舞っているかもしれないね!」
メディさんは、まるで本当に空を飛んでいるかのように両手を広げる。
メディ
「ボクの足は、地面についているかな?」
(メディさん……)
彼の姿やその言葉に、思わず笑みがこぼれてしまった。
○○
「ついていますよ」
笑いながら、そう答えると…-。
メディ
「それはよかった!これで問題なく、ハニーとのダンスを楽しめるね!」
メディさんは、悪戯っぽく目を細めた。
メディ
「さあ、行こうか」
私の手を自分の腕に添えさせ、彼が歩き出す。
○○
「はい!」
メディさんにエスコートされ、私は舞踏会の会場へと向かう。
並んで歩く景色が、なぜだかきらきらと輝いて見えた…-。
- 最終更新:2018-02-24 18:13:45